・いしいしんじ「東京夜話」
関東地方にある東京ってところはヘンな町だと思う。僕が最後にそこへ行ったのは2年ぐらい前で、そのときはたしか、50メートルおきにスターバックスカフェがあったこと、どの駅の最寄にも富士そばがあったこと、オサレなカフェに行列ができてること、なんかを印象深く覚えている。この本は、そんな町、東京を一人称で描いたもの。そしてその切り口がまるで都市伝説。深夜のゴミ人間回収,下町の地下にある超科学都市,人の問いかけに笑いかけるラジオ…などなど。しかし語り口がのほほんとしていて、まるで他人事みたい。
・枡野浩一「君の鳥は歌を歌える」
今月の枡野作品はこれ。本や映画、CD、演劇のレビューに短歌を組み合わせたアクロバティックなつくりの評論本だ。基本的に好きな作品にスポットをあてて書いてるので、作者に宛てられたラブレター、それも男子中学生が書くもののようで、青臭くて清々しい。こうゆうのに紹介されてるのには思わず手が伸びそうになってしまう。
・森絵都「アーモンド入りチョコレートのワルツ」
シューマン,バッハ,サティのピアノ曲をテーマにした3編の短編。ぼくにも十代という年代の頃があって、当時は身の回りの明るさに気付かなかったけど、いま思い返すと、キラキラしてた時期だったなぁと思う。
・角田光代「これからはあるくのだ」
このエッセイに書いてあることのテーマは、わりと普通なのだ。バスに乗るのが好きとか、習字を習ってたとか、下手だが料理をするのが好きだとか。けれど角田さんが書くとそんな何でもないことが、日常のスペシャルになって、エッセーなのにまるで小説の序文のようで、それを足がかりに1編小説が書けてしまうんじゃないかと、わくわく妄想をしてしまうのだ。それにしても角田さん、飄々としてるけど、かなりのドジだ。

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