・奥田英朗「東京物語」
たぶん自分は、二十九歳にもなって、将来は何になろうなどと考えているのだ。
たまたま開いたページ(それは解説のページだった)にこの一文を見つけて読もうと思った。18の春に上京し、29でフリーのコピーライターとなる主人公の各時代の1日を切り取った作品。ジョン・レノンが暗殺された日,名古屋オリンピックがおじゃんになった日,ベルリンの壁が崩壊した日。それぞれの時代を生きる人間の思いを感じ取ることができた。
夢を見るには遅すぎて、何かをあきらめるには早すぎる歳なのかもしれんね、二十九歳って。そして僕はもうすぐ三十になるんだ。
・いしいしんじ「ぶらんこ乗り」
このお話にでてくる弟くんは、まるで幼少の頃の自分みたいだった。新しい遊びを思いつき、突拍子もない物語を創造してた。あのころの自分はどこに行ってしまったんだろうね。異国に旅立ったまま消息を絶ったかのように、かつての自分はそこにはいない。
にしても、このお話、まるで奇跡のように素晴らしかった。読んでいて、こんなにも興奮(ドキドキとワクワク)したのは久しぶりだ。
・嶽本野ばら「幻想小品集」
発売してまもなく買ったのだけど、半年ほど寝かせていた本。
あの事件以来、僕はほんのちょっとだけ野ばらさんのことが嫌いになってたみたいだ。けど、この本読んだら感服してしまった。綺麗で惑いがない文章。完璧ではなく潔癖という言葉で賞賛する方がしっくりくる。
野ばらさん、最近はバンド組んで少年ナイフと東名阪ツアーしたらしい...。いったいどこへ向かっているんでしょうね、この人は。またしばらく目をはなさないでおこう。

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