・吉田篤弘「つむじ風食堂の夜」
きっとどこかにある街、月舟町。そこは今僕が住んでる町みたいでもある。そんな町で起こる不思議でありきたりな日々。8話の連作からなる本なのだけど、どっぷりと浸っていたい世界観だったので、もっと続いてほしい話だった。アンコールの拍手をしたくなるところで話を止める、というのは絶妙な終わり方なのかもしれない。
・村上春樹「神の子どもたちはみな踊る」
いつぞや見た朗読劇の原作が読みたくて買ったのだけど、その話の始めの3行を読んで止めてしまった。「そのまま」だったもの。頭の中を役者さんの声が反芻して読書どころじゃない。
この本は阪神淡路大震災を背景に起こる短編をまとめたもの。街が壊滅するほどの地震がキーとなってさまざまなドラマが生まれる。「蜂蜜パイ」のラストでの主人公のポジティブさが心強かった。
・いしいしんじ「麦ふみクーツェ」
もう、すごい本だった、これ。
とん、たたん。と、麦をふむリズムや、「なぐりあうこどものためのファンファーレ」、「赤い犬と目の見えないボクサーのワルツ」なんてタイトルだけでワクワクしてしまう楽曲たちが本当に耳に聞こえてきそうな感じで文面が踊る。ラストシーンなんて涙で字が読めなくなるほどに感動した。素晴らしい物語だった。
・三浦しをん「夢のような幸福」
しをんさんの平熱な日々を追いかけて何冊目か。ものすごくどうでもいいことが書いてあるので読み手として恐ろしく無責任でいられる。ほんとうにこの人のエッセイは学ぶべきところがなにもなくて気楽でよい。

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