「TOKYO!」と「東京残酷警察」。いやぁ、無茶なハシゴかなぁと思っていたけど、外国人監督の捉えた東京と外国向けに捉えた東京という、ちょいと目の付け所の変わったふたつの東京を対比できておもしろかった。

 「TOKYO!<インテリア・デザイン>」
 上京してきたカップルの彼女の方ががイスになって別の男に拾われるはなし。
 イスになるのか、元々イスだったのか、イスのふりをしているのか、そもそも何故イスなのか。イスって何の隠喩だ?

・「TOKYO!<メルド>」
 地下道の怪人が死刑になるはなし。
 ???語⇔フランス語⇔日本語という不毛な伝言リレーに、誰か一人でも嘘言ってるんじゃないの?と疑う。外国人犯罪者の裁判ってあんなんだろうか。美人通訳の口からでる全く感情の入ってない罵倒があまりにもシュールだった。

・「TOKYO!<シェイキング東京>」
 ひきこもりがひきこもりに会うために外に出る話。
 何もかもいちいちズレてて、おかしくてしょうがなかった。トリックスターとしての竹中直人の破壊力は抜群。

・「TOKYO!<残酷警察>」いやいや、「東京残酷警察」
 血がドバーっとでるはなし。
 血が血に思えなくなるくらい景気良く出てた。話の薄っぺらさを時々挿入されるCMがさらに薄める。このCMが残酷描写の連続でお腹いっぱいになりそうなところに息つく暇をあたえてくれる。主演のしいなえいひの美しさをはじめとするヴィジュアルがすばらしくて、鰐女・犬女といったクリーチャーの出来や格闘シーンが抜群にカッコイイ。音楽もよくて劇中に挿入される「母檸檬」の曲が本当すばらしい。出演者も激しく濃い。エンドロールみて、「え、○○さん出てたの?何役?」ってのが2,3人いた。もう一回みようかしらん。

映画『TOKYO!』予告篇

Official Tokyo Gore Police Trailer(注!血まみれです)

 ある日突然、ホームレスが転校してきたら、なんてありえそうにないifは映画だからこそ生かせる設定。転校生ものの源典、宮沢賢治「風の又三郎」を引用したのもウマいと思った。
 突如現れた「これ以上ない被写体」に「すごい画が撮れた」とドキュメンタリー制作に突っ走る映研の3人が生き生きしててよかった。「同じ目線に立たないと」と、ミイラ盗りがミイラにの如く、ホームレス撮りがホームレスになってしまう流れはおかしかったなぁ。結局のところ、ホームレスを撮った作品じゃなく、「僕らのホームレス体験記」になったんじゃないかな。何故だか劇中劇は端折られて観れなかったけど。
 難点といえば、ホームレスの須崎というキャラクターをまったく掘り下げなかったこと。しゃべらない、過去がない、家族いない。ステレオタイプのホームレス像を見た目だけあつらえてるだけのスッカラカン人間。あまりに実態のないキャラクターだったので、別にホームレスじゃなくてもいいじゃん、白い紀州犬でもいいじゃん、金正日でもいいやん、いっそ幽霊でもいける、とホームレスである必然性まったく感じなかった。
 最後のオチにもガッカリだった。ぶっちゃけネタバレなのだけど、いっしょに卒業してほしかったよ。突如姿を消したなら必死こいて探せよ。クラスメートだろ、友達だろ、と。終盤ちょっぴり感動しただけに、ギャグファンタジーに仕立て上げられて何だかなーと思ってしまった。まあ、「ホームレス中学生」のパロディ映画にゴリゴリのリアリティーを要求するのも酷か。

ホームレスが中学生公式HP
http://homelessga-movie.com/

 ヲルガン座企画の深夜上映会に再び足を運ぶ。今回は「タカダワタル的ゼロ」。ロビーにて「のっこん」さんのライブ付きだった。高田渡のモノマネしてるようなしゃべりで、4年前の横シネでのライブのことをじわじわ思い出す。最後にやった曲、「ブラザー軒 」っぽくてよかった。
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 映画はイントロダクション的なものがスッパリ省かれ、突然高田渡、突然いせや、といった具合で始まった。つくりは荒っぽいけど、高田渡のライブがすばらしいので些細な不満は覆されてしまう。そして、4年前のライブを鮮明に思い出す。ライブでやった曲が映画ででてくると、時間は4年前に戻り、あのときの空気がよみがえってくる。1曲終わることに思わず拍手を送りそうになる。
 最後の「いせや」が建替えのため取り壊される映像は、もう高田渡はこの世にいないことを暗に示していたのかな。それでも、また、高田渡に逢いたいと思った。

 井口昇監督作品「片腕マシンガール」みた。事前にロバート・ロドリゲス「テラー・プラネット」とタランティーノ「キル・ビル1」をレンタルDVDで見て残酷シーンの免疫つけてたけど、いやぁ、まいった。ちなみに前述の2本は頭の中スッカラカンにして楽しめた。
 マシンガールはyoutubeにMAD作品がupされるほど海外でウケのいい作品。小窓でそれらの映像見る限り、いけそうかな、と思ってたけど映画館のスクリーンで見るとかなり強烈だった。すべて「ギャアァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」でなされる断末魔にもまいった。
 と、残酷シーンにまいったことばかり書いたけど、物語の筋はよかった。弟がいじめられるシーンでふつふつと怒りがこみあげ、殺人容疑者の娘だというだけで相手にされないことでドッカーンとブチ切れ、復讐狂と化す爆発力は見事だった。あと、案外まっとうな事を言ってる(でもやりすぎ!な)ヤクザの親子愛とか、復讐に対する報復「スーパー遺族」と、筋の通りすぎてる登場人物たちも見物だ。度をはるか超越してはいるけれど、娯楽作品なのだ。
 主演の「アミ」演じる八代みなせがかわいくて、亜紗美が演じる「ミキ」が敵の手下を拷問するシーンで見せたあの笑顔は100点満点だ。つーかあのシーンで笑顔でいられるなんて怖すぎる。

海外版トレーラー(注!血が出ます)

 映画「Tibet Tibet」を最終日の追加上映で見る。
 在日コリアン3世の監督が「民族とは?」の疑問を晴らすべく、体当たりでバックパッカー旅をするロードドキュメンタリー。アイデンティティにゆれる監督自身と自分自身が重なる。僕は日本人であることを誇れるだろうか。
 キーマンとして登場するダライラマの器のでかさに魅入ってしまう。チベットを取り戻す為に「闘え」なんて言わず、「理解し、理解される」よう促し、亡命したばかりの僧たちに「君たち一人ひとりがチベットの主だ」と教授する。監督の劇中のナレーションをかりると、まさに「現代の賢者」だ。
 チベットからインドへ亡命するとんでもなさを初めて知る。標高6000メートル級の峠越えを国境警備隊に見つからないように夜間(気温はマイナス40℃)に決行するらしい。そこまでしての「亡命」。チベット人がチベットで生きることにそれだけ希望がもてないのだ。
 こないだ観た「バックドロップクルディスタン」や「NAKBA」で訴えられた問題がこの映画を観ているあいだ中ずっとオーバーラップしていた。彼らは生き難いのではなく、生き生き生きたいだけなんだと。たったそれだけのことが許されない世界がこの世にあるんだと。

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