・村上春樹「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」

 GW中にたっぷりと読む。どこにも行けないふたつの物語の主人公が自分と重なるようで、読めば読むほどに引き込まれ、続きが気になってしょうがなくって、一気に読み終えた。文庫だと上下巻なのだけど、ハードカバーは1冊になってる。その分厚さ、重さ、値段にひるみもしたけど、買って読んで正解だった。装画もうつくしい。

・三浦しをん「ロマンス小説の七日間」

 上記作品を読んで、この作品のことを思い出し、読んでみることに。
 原作から脱線してゆくロマンス小説...脱線しつつも描いている事柄は投信か願望か。まわりに流され日々過ごすあかりと、流れに逆らい活路を見出そうとするアリエノール。
 ざっくりと書かれているけど、ハッとすることが書いてあって、やはりしをんさんは油断ならない。

・よしもとばなな「はじめてのことがいっぱい yoshimotobanana.com 2008」

 ばななさんのwebにのってる日記の2008年版。いま8月の終わりごろを読んでるところ。
 ばななさんの身辺の人たちがどんどん出てきて、なんにも知らずに読み始めたものだから戸惑ってしまう。思わずWikipediaで調べてしまう。あまりにもばななさんのことを知らなかった。
 とても気持ちのいい文章で日々が綴られる。なんだか下北沢が隣町のように思えるほどに親近感。

・嶽本野ばら「ROCK'N'ROLL SWINDLE正しいパンク・バンドの作り方」

 「野生時代」で連載1回目を読んだときにはつまらなかったのだか、本となったものはとてつもなくオモシロかった。
 実話を脚色して"小説"としているのだけど、出てくる人が皆、実在してるだけにセリフが生き生きしてる。山本精一の人物像なんて無茶苦茶だけど、実際あんな人なんだろうなぁ。
 DRAWERSメンバーの会話も気持ちよくて、音楽だけじゃなく、コミュニケーションでつながってる人間関係が描かれててよかった。野ばらさんは全てのファンを裏切ってもこの人たちを裏切るようなことはしないでほしい。
 本を読み終えてから付属のDVDを正座して鑑賞。こんなかたちで動く野ばらさんを初めて見るとは思わなかったけど(声を聞くのも初めてだ)、めちゃめちゃアリじゃん、DRAWERS。

・古川日出男「ルート350」

 これは詩だ。
 なぐり書かれたような、緻密に綴られたような、圧倒的に勢いのある文章で描かれる物語は朗読するスピードで、それはけっしてはやくはないけれど、着実に読み進めることができ、物語の質感を肌で感じ取ることができる。爽快な読書感を得ることができた。
 昨年末のライブを見逃してしまったのが未だ気がかりだ(DAXで見れるけど)。

・奥田英朗「ガール」

 女の子のウエットな感性が瑞々しく描かれた作品なんじゃなかろうかと手に取った一冊。ぜんぜんそんなじゃなかった。
 東京の大企業でキャリアを積む女性のサバイバルな物語は、僕からすれば異世界のお話。つーかウンザリするほど仕事が忙しいときに仕事の話なんて読むもんじゃない。

・三浦しをん「格闘する者に○」

 しをんさんのデビュー作をやっと単行本で見つけた(文庫版は手に入り易いです)。
 今まで読んだ小説の中で、最もエッセーの文体に近い。それでいて唐突に湿度をはらんだ文体が差し込まれていて、そのムラにハラハラしてしまう。
 仲のいい男友達に「ホモかもしれない」と告白されたり、何もかも愛されるのではなく脚だけ愛されたりと、しをんさんがぐっとくるシュツエイションてんこ盛りだ。

・川端康成「眠れる美女」

 装丁買い。表紙というか帯の写真のモデルは多部未華子さん。透明感に溢れた正統派美少女には汚してはならない清潔さがあり、つまり、ぐっとくる。
 眠っている娘といることで、かつての恋人を思い出し、母を思い出し、娘を思い出し。何も語らない相手とのコミュニケーションってことでいいのかな。まだ性的能力のあるらしい老人が、何ら抵抗もしない眠り姫を横にしているという背徳ぐあいは良いのだが、謎を謎のままにしてサッサと終わってしまった最後にポカンとしてしまった。

・江國香織「泣く大人」

 身の回りのこと、思っていることを、まるで物語のように瑞々しく書き綴っている。このひとの書き表す「快楽」はまったくいやらしさがなく、「贅沢」の行間に含まれるささやかさがほんとうにかわいらしい。
 「男友達の部屋」の章をほうほうと思いながら読み進める。為になるとか参考にできるとかじゃなく、今まで見たことのなかった景色を見たかのような新鮮さ。

・村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」

 正月帰省の際に3部一気読み。壮大なペテンのようにも、今自分の身に起こっていることの隠喩のようにも思えてくる歳時記。読み進めることに収束することのないエピソードが積み重ねられ、ぐるぐる混沌してくる。一体この話のテーマってなんなだろう。だがしかし、"悪役"が倒れ、問題が解決されそうだとう結末にいきついて、なんだかいい話じゃないかと不思議と納得できてしまう。これってペテンか、それてもまっとうなのか。

・吉本ばなな「ハードボイルド/ハードラック」

 奈良美智の挿絵がよくって買ってしまった。桝野さんの短歌を思い出し(正確な内容を引用しようと元ネタ探したけど見つからなかった)、「死」という文字を数えながら読み進めた。生きることと死んでしまうことの間にある絶対的な違いがあやふやになってしまいそう。

・みうらじゅん「親孝行プレイ」

 無償の愛を提供してくれた親に対しての無償の孝行を「プレイ」と称し、至極まっとうなことのように指南してるけど、これってつまりMJの親孝行自慢なのだ。

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