7月に読んだ本

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・絲山秋子「イッツ・オンリー・トーク」

 表題作は2年ぐらい前に見た「やわらかい生活」という映画の原作。寺島しのぶがスゲぇかわいかったのを覚えている。
 小説のほうはドライな調子を心がけてる文調で満たされない日々を語ってる。その感じがどうも偽ってものを書いてるように思えてなかなか作品の中へ入り込めなかった。
 もう一作の「第七障害」、語り口が三人称なのが中途半端で悔やまれる。

・枡野浩一「ハッピーロンリーウォーリーソング」

 歌集「てのりくじら」と「ドレミふぁんくしょんドロップ」が一冊にまとまったお得な文庫。枡野さんの本を何冊も読んでいるだけに知ってる歌が大半で、それだけにパラパラっと読めてしまうかなと思っていたけど、そうもいかなかった。心に刺さる歌ではページをめくる手が止まってしまうのだ。知ってる歌だろうと知らない歌だろうと。

・江國香織「赤い長靴」

 夫婦の話。ふたりともひとりぼっちで世の中から乖離してる。何となく、夫婦をやってる、ようであり、アイデンティティの狭間でどうしてよいのかわからないようでもある。
 語り口が妻であったり旦那であったりして、ときに同じイベントを二人の視点から語られたりしてて、とても興味深い。それでもやっぱり夫婦ってわかんないや。

6月に読んだ本

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・角田光代「みどりの月」

 先月も紹介したけど、2編収録されているうちの「かかとのしたの空」を読み終えたので…。最近本読む集中力ないなー。
 「みどりの月」での主人公の居場所のなさに触れたけど、この物語に出てくる夫婦の行き場のなさにもどんよりさせられた。目的があるわけでもなく、誰かから逃げているわけでもなく、ただ放浪する二人。なんてことないように綴られた放浪の日々は、ありふれた日常の延長ようで、誰しもこの夫婦のように根無し草な生活に飛び込めるんじゃなかろうかと。あるいは、目的があるわけでも誰かから逃げるわけでもない日々は、この夫婦のしてる放浪生活と何ら変わらないじゃなかろうかと頭をよぎる。

5月に読んだ本

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・角田光代「みどりの月」

 2編収録されているうち、表題作を読んだだけだか、書こう。
 この話の主人公は、居場所がどこにもない。派遣先の職場にも、恋人とその妻とその恋人のいる家にも。フラットな文面で書き綴られている腐りゆく心情は、不快でないからか易々と心に染み付いて、はっと気が付いたときにはイヤーな感じが蓄積してる。だからこそ、最後に示される一握りの変化が希望に思えてくる。

・川上未映子「そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります」

 実は読みかけなのだけど、書こう。
 文筆家よりも歌手(、というかシンガーソングライター)の日々がぐるぐる書かれてる。ブログが元らしいのだけど、数日連投で長文を書いたかと思えば、ひと月ぽかんと空けてなんでもないことをかいてたりして、このひと大丈夫なんだろうかとハラハラしてしまった。親心でもついてしまったのか、アルバム「頭の中と世界の結婚」が気になってしょうがない。

・俵万智「サラダ記念日」

 これも読みかけなのだけど、書こう。
 21年前にでて400万部うれてるモンスター歌集。優等生のメガネのあの娘の日記を読むと、彼女の内心けっこうドロドロ。内容的な魅力は薄いと思う。古臭い言い回しとか文語を使ってるのに軽いんである。軽いので文章としてつぶやきとして頭に入る。結果、暗唱できるほど印象的なのに未だあってない。

4月に読んだ本

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・東直子「今日のビタミン*短歌添え*」

 東さんは数冊歌集をだしているのだけど、どういったわけか店頭で見たことがない。ので、エッセイ+短歌の本書を購入。旬の食材や食卓に上る料理にまつわるエッセイ。「歌壇」という御堅い雑誌の連載をまとめたものなので、少々文章も短歌も御堅いのが難点かな。おいしいものをおいしく食べるって、ごくあたりまえで、それでいてなかなか成せないことだよと痛感。食卓ってひとりじゃつくれないものだ。

・三浦しをん「きみはポラリス」

 しをんさんは長編を主に出してるのだけど、このひとの引き出しの多彩さを伺うには短編がいちばんだと思う。「私たちがしたこと」「ペーパークラフト」「冬の一等星」なんかに見受けられる文章の湿度や温度やダークさにはゾクゾクさせられてしまう。

・三浦しをん「人生激場」

 このひとのエッセイはこれで4冊目かな。なんでこんなに読んでるかというと、まったく全然しをんさんというひとが、読めば読むほどにわかならくなってるからだとおもう。嘘はなく、だが大いに作為的な書き方でつづられた妄想や日常は、ときに「これが週刊新潮に掲載されたのか!」と空を仰ぎたくなるほどに暴走し、そして終着点ではキッチリまとまってる。いやー一体しをんさんというひとはどうひとなんでしょうね。

3月に読んだ本

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・山田詠美「ラビット病」

 壊れてしまいそうなほどにお互いを求めるふたり。いつ壊れてしまうのかと、読んでいてヒヤヒヤしていたら、あらま、ハッピーエンド!いいなぁ、こんなカップル。本当に大切なことがストレートに書いてあって、スカッとした。野中柊さんの解説もよいです。

・佐藤真由美「プライベート」

 この歌集を通して浮かび上がるのは、恋をするごとにメランコリーになる女性像。あぁ、佐藤真由美さんって、どんなひとなんだろう。すべての短歌を引用してここに妄想を書きめぐらしたくなる。刹那性に富んだ一首一首は、それぞれに独立し完結したストーリーがあるようで、ゆっくりたっぷりと読める。

・藤谷治「下北沢」

 かの街に行ったときは、空前のシモキタブーム真っ只中のGWで、狭い路地でさえひとで溢れていた。いまはどうなっているんだろう、なんて思いながら、この本を手に取った。なんか濃い人たちが出てきて時系列がごっちゃで少し混乱したけど、最後にはホロっとして、一握り勇気をもらった。会話がいちいち心強かった。

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