9月に読んだ本

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・江國香織「ホリー・ガーデン」

 江國さんの本を読むと、どうしてこうも清々しくなれるんだろう。終わってしまった恋を葬り続ける果歩の日々は永遠に続いてほしくも、明日にでもやめてしまうべきでもあるようで、その儚さに危うさに胸をつまらせてしまう。大人がしてることをきちんとしないと、自分が大人だっていうことを忘れちゃうよね。

・枡野浩一「一人で始める短歌入門」

 短歌の楽しみ方入門、的な本。歌集をまともに読んだことのない僕にはうってつけな一冊でした。
 CHINNTAIでの企画に応募された一般の方々からの作品に歌人・枡野浩一さんの愛のある評がついたものなんですが、その評の楽しいこと。一首の短歌から、その歌が生まれたバックグランドストーリーを想像したり、作者の人柄を妄想したり、替え歌的にパロディをつくってみたり。と、「短歌って、こんなにも楽しいものなんです」って感じが全面に溢れてる。

・嶽本野ばら「シシリエンヌ」

 野ばらさん逮捕の報が僕のケータイに飛び込んだときは、ほんとうにおどろいた。一瞬、何がなんだかわからなくなってしまった。数日が経ち、数少ないニュースを読んで感じたのは、今回の逮捕って計画的なものだったんじゃ…というものだった。ドラックジャンキーになる人は新たな刺激を求めて次々と薬物に手を出す傾向があるとおもうんだけど、野ばらさんは、この記事を書いてる時点で判明しているかぎり、タバコよりも依存性の低いgrassのみだ。そして、タイミング。「Fetish」という全仕事をまとめた本が3月に出たばかり。それに先々月だったか、「野生時代」に掲載されたエッセイの出来損ないみたいな私小説、小説家が断筆してミュージシャンになろうというもの、の酷さを見たばかりだったので、野ばらさんは自分で自分にピリオドを打ったんじゃ、と思えてならない。あくまで個人的な思惑なんだけど。
 さて、「シシリエンヌ」。逮捕の報を知ったとき、この本読まなくちゃと思った。野ばらフリークのYちゃんが「これだけはついていけない」とのたまったほどの本。執拗なほどの性描写に目を奪われてしまいそうだけど、この本の要は197ページの館でメリザンドと名乗る貴方が言い放つセリフに集約されてるんだ。

「悲しいのよ、既に。ありきたりなのよ、十分に。君が男子で、私が女子である限り」

・益田ミリ「上京十年」

 9月中、外出するときに必ずカバンにウエストポーチに入っていたエッセイ。肩の上に乗っかってた重荷がほろほろと取れて落ちてゆくような、晴れやかな気分になれる本だった。
 エッセイの合間に挟まれたイラストつきの俳句(季語がないから川柳かも)が爽快。なんだか短歌になりそうなんだけど、下の7・7に何かを付け足すと、とたんにチープになってしまう。完結してるんだ。ちょっと紹介します。


強くなる汚れるわけじゃないと思う

温かい言葉なんだよ「また明日」

重ねぬりペディキュアみたいな毎日だ

・穂村弘,東直子,沢田康彦「短歌はじめました。」

 「猫又」という短歌結社(短歌サークル)に寄せられた短歌を主催の沢田さんとともに歌人の穂村さん東さんが座談会的に評をつけたもの。女優の本上まなみさんや、漫画家の吉野朔美さん、ときに高橋幸宏さん、もちろん一般のひとたちからも多くの短歌が寄せられてて、題詠の切り崩し方やことばの選び方に驚かされてしまう。そして穂村さんのキビシイ評や東さんのあたたかい評、沢井さんのフォローと語り手も饒舌で、その雰囲気の楽しさが伝わってくるのだ。
 でも文語や旧仮名(「ゐ」とか「ゑ」)が混じると、とたんに取っ付き難くなるんだけど、どうしてわざわざ格好付けてそうするんだろう。一人称が「我」なのはどうしてなんだろう。普段絶対に使わない言葉なのに。ルー語ライクでベリー格好バッドです。

8月に読んだ本

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・ダニエル・キイス「タッチ」

 ”放射能汚染”で、肉体的・精神的・社会的に大ダメージを受ける話。原爆での放射能被害を知っていても、この話は残酷でショッキングなものだった。だって相手は目に見えない「塵(放射性物質のカケラ)」なんだもん。そして、いつ自分の身にふりかかるかわからない恐ろしさに気づかされる。東海村や柏崎でのこともあるし、他人事じゃない話。

・松尾スズキ「クワイエットルームにようこそ」

 精神科の監禁病棟でのあれこれ話。そこにいる人たちは、何ら普通の人たちで、そこかしこが少しずつズレてたり壊れてるしている。「普通なのに、間違ってここに着ちゃったんです」な主人公も、読み進めるとズレてたり壊れてたりしている人で、読み手である僕もそんな主人公に自らを重ねて、自分の中のズレ具合とか壊れ具合は如何ほどのものなんだろう、と省みたりする。
 解説を歌人の枡野浩一さんが書いていて、どうやら●●ネタを松尾さんに封じられたらしい。この作品を読み終えた直後に松尾さんが●●されたことを公表され、なんかこの二人って因縁づいてるなぁと思った。

・藤谷治「恋するたなだ君」

 猛暑日に涼みに行ったリブロで見つけた本。自分の殻の中でマイペースにやってきたたなだ君はある日突然恋をしてインチキな町のデタラメな人々に囲まれて、ひと皮もふた皮も向けてく話。恋をすると本当に人って変われるんです。序盤のたなだ君のマイペースっぷりにイライラしちゃったけど、後半の勇ましたといったら男でもほれちゃいそうなもんだった。


・片山恭一「世界の中心で愛をさけぶ」

 アキちゃんはかわいそうだが、朔太郎は地獄にでも落ちたらいいとおもった。おわり。

7月に読んだ本

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・姫野カオルコ「よるねこ」

 夏といえば怪談でしょう、と買ったものの、文章の触り心地のザラザラした感じに、別の意味でゾクゾクしてしまった。

・村上春樹「パン屋再襲撃」

 奇妙で特別で不可思議なことを、まるでありふれたことのように体験させてくれる。

6月に読んだ本

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・三浦しをん「極め道」

 「私が語りはじめた彼は」と「まほろ駅前多田便利軒」との温度差にドギマギしてしまった三浦しをんさんの何年か前に出た初エッセイ。
 テンション高い文章なのに、この人は何だかすごく冷静だ。自虐的とも取れるくだりが多数でてくるけど、嫌味な感じが全くしなくて、ありとあらゆることを客観視してんのかなと、クスクス笑いながら読んだ。「女性向けホモ小説(あえて「ボーイズラブ」とは呼んでない)」に対して、こーも熱く語るものかと仰天しまし、読書評では文学小説からコバルト文庫の本までと極振りな挙げ方をしてて、すごい共感。やっぱりこのひととはお友達になりたいな。

・山田詠美「4U」

 山田詠美さんの短編集は話ごとに作者が変わってるんじゃないかと思わせるぐらいに文章の幅がひろくって、そしてすごく読みやすい文章で書いてくれる。きっと産みの苦しみは人一倍大きいんじゃないのかなと、勝手に想像してちょっと心配になってしまう。
 「男には向かない職業」に出てくるカップルみたく、だらしないけどどうしようもなく愛し合ってるふたり、なんて憧れるなぁと。

5月に読んだ本

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 ・山田詠美「放課後の音符」

 ・江國香織「すいかの匂い」

 ・村上龍「空港にて」

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