4月に読んだ本

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・いしいしんじ「東京夜話」

 関東地方にある東京ってところはヘンな町だと思う。僕が最後にそこへ行ったのは2年ぐらい前で、そのときはたしか、50メートルおきにスターバックスカフェがあったこと、どの駅の最寄にも富士そばがあったこと、オサレなカフェに行列ができてること、なんかを印象深く覚えている。この本は、そんな町、東京を一人称で描いたもの。そしてその切り口がまるで都市伝説。深夜のゴミ人間回収,下町の地下にある超科学都市,人の問いかけに笑いかけるラジオ…などなど。しかし語り口がのほほんとしていて、まるで他人事みたい。

・枡野浩一「君の鳥は歌を歌える」

 今月の枡野作品はこれ。本や映画、CD、演劇のレビューに短歌を組み合わせたアクロバティックなつくりの評論本だ。基本的に好きな作品にスポットをあてて書いてるので、作者に宛てられたラブレター、それも男子中学生が書くもののようで、青臭くて清々しい。こうゆうのに紹介されてるのには思わず手が伸びそうになってしまう。

・森絵都「アーモンド入りチョコレートのワルツ」

 シューマン,バッハ,サティのピアノ曲をテーマにした3編の短編。ぼくにも十代という年代の頃があって、当時は身の回りの明るさに気付かなかったけど、いま思い返すと、キラキラしてた時期だったなぁと思う。

・角田光代「これからはあるくのだ」

 このエッセイに書いてあることのテーマは、わりと普通なのだ。バスに乗るのが好きとか、習字を習ってたとか、下手だが料理をするのが好きだとか。けれど角田さんが書くとそんな何でもないことが、日常のスペシャルになって、エッセーなのにまるで小説の序文のようで、それを足がかりに1編小説が書けてしまうんじゃないかと、わくわく妄想をしてしまうのだ。それにしても角田さん、飄々としてるけど、かなりのドジだ。

3月に読んだ本

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 枡野浩一「結婚失格」

 氏の離婚調停中から離婚までの期間に書かれた日記風私小説的書評と短歌少々。僕が枡野浩一さんをはじめて知った、角田光代さんの文庫「だれかのいとしいひと」の解説にある感じで、うだつのあがらない日常の中に本の感想がある。枡野さんの本を読むたびに、こんな感じで物が書けたらと、いつも思う。言葉の選び方、文節の長さ、リズム、どれもさりげないようでとても計算されているかのようにおもう。
 前の奥さんをこの作品で初めて知って、じゃあ、やまだないとの「西荻夫婦」にチラ出してたあの人ってそうなんかなぁと。
 何ちゃらジャンプっていう漫画雑誌で連載が開始された枡野さん原作の漫画「ショートソング」、立ち読んだかぎり、妄想描写が浅くって、短歌の出し方も効果的じゃなくて、絵ばかり上手な漫画って感じでした。これから面白くなるんかな。

 岡崎京子「ヘルタースケルター」

 いつものカフェで、読もう読もうと思いながら何だか後回しにしていた本。借りずに、計3日ぐらいかけて読んだ。「アルジャーノンに花束を」に何だか似てるような。いちど明るいところに出てしまった物の、暗いところへ戻る恐怖。それから逃げるように暴力や薬に走ってしまう人間の性。

 スコット・フィッツジェラルド「グレート・ギャツビー」

 3月の上旬から読み始めて、未だ1章を読んだだけ。ギブアップかも。

 美輪明宏「人生ノート」

 どんな素晴らしいことが書いてあるのかと思ったら、全く以って当たり前のことが堂々と書いてあった。そうか、世の中そんだけひん曲がってるのか。

2月に読んだ本

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 あ、もう3月になってるよ。

 東直子「長崎くんの指」

 ブルータスに載っていた広告がぱっと目に入り、読みたくなったので。作者の東さんは短歌詠みの方らしいです。「ひがし」と読むらしいです。リブロでは「あ行」のコーナーにおいてあります。
 ドロップアウトしちゃった人たちが寂れた遊園地と出会う短編集。いま、とんでもないスピードでとんでもないところへ向かっている感じがする日々を送っているので時にレールを外れてみたいとぼんやり思うのです。元のレールに戻れなくてもだいじょうぶな気が少しだけする、そうゆう小さな勇気をくれた。

 嶽本野ばら「カルプス・アルピス」

 野ばら作品には珍しく、穏やかなハッピーエンドを迎える作品だった。そして、あとがきに添えられたエピソードがよしもとばななさんの作品に出てきそうなエピソードで、心の芯がポっと暖かくなった。野ばらさんの作品を読んでこんな感じになったのははじめてだ。

 長嶋有「タンノイのエジンバラ」

 かつてこのブログにリンクを張ってくれていた方がそのブログで長嶋有さんを推していたので。なんら交流なかったんですが、もうリンク張ってもらってないのですが、興味がてらに。
 淡々としていて、つまらくもなく、頁に目を落とせば物語がゆっくりと進んでゆく。読んでて疲れない、横シネで観る邦画のような、そんな作品だった。

1月に読んだ本

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 逝ってしまいましたね、1月。はやい、あっけない。2月は如何にして逃げるんだろう。

・村上春樹「ノルウェイの森(上)(下)」

 正月に実家に帰省したときに携えた文庫。村上春樹さんの本を読んで、その感想を文章化するのって僕にとってはすごく困難なことだ。この本もそうで、読みながら頭の中がぐらぐら揺れて心がドキドキして涙が流れたりするのにその気持ちをうまく言い表せない。ひとつ言えるのは、この本も僕にとって大事な2冊になったということ。

・東野圭吾「手紙」

 正月に実家に帰省したときに妹から借りた本。先月は「夜のピクニック」だったから、アイツは映画の原作になった本を選んで読んどるんか。
 こんなにもドライな文章を読んだのは久しぶり、というのが唯一の感想。きわめて事務的に文章を読み進めて、何の感慨もなく読み終えてしまった。心が乾いてるからこんな感想をいだいたんだろうか。

・よしもとばなな「ハゴロモ」

 よしもとばななさんは文に書かれている事の何倍もの事柄を行間に書いているなぁと、この本を読んでギョっと気付いた。何もかもを書いていないことで、いろんなことを想像できて物語が僕の中で何倍にも膨らんでいる感じがした。すごく薄い本なのにゆっくりとしか読み進めることができなくて、それでいてもどかしさなんて感じなくて、「おわってほしくないな、この話」と思いながらじっくりと読んだ。

12月に読んだ本

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 年が明けました。新年の挨拶もそこそこに、去年の12月に読んだ本の記録。

 枡野浩一「ショートソング」

 最近好きな物書き・枡野さんが新刊をそれも小説を出した。すごい気になって、文庫って手軽さも手伝って、即購入。短歌青春物語というオモシロイ切り口の小説だった。氏が普段から苦虫として噛み潰してきている歌壇の腹黒い体質とかをサッパリ切りつけながらサクサクと話が進んでいく。短歌ってオシャレじゃん!話の途中に挿入される短歌がすごく面白い。そんな中から僕の心を串刺した歌を。宮田ふゆこさんという方の歌です。
「謝られ もうよしとする 許さなくたって生きてゆく人なのだから」

 恩田陸「夜のピクニック」

 学生時代は字なんて読まなかった妹が、どうゆう訳だかここ最近小説を読んでいるらしく、「おもしろかったから貸してあげる」と借りた本。24時間ぶっとおしで歩き続けるという学校行事での主人公らの心の動きを綴ったもの。僕が高校生のときの部活動で似たようなことをやったことがあって、そのときは山口県の由宇から高校の最寄り駅までの約50kmを12時間かけて歩くというものだった。2年に1度、年末に行われるその催しは、参加できなかったOBOGも追参加するほどの名物行事だった。夜半から雨が降る中を夜通し歩き続け、ゴールの駅前広場でグロッキーになっていたのを思い出した。9年前のことだ。

 三浦しをん「まほろ駅前多田便利軒」

 いつぞや「すごい文才の方に出会ってしまった」的なことを書いてしまった三浦しをんさんですが、この作品で直木賞を獲ってらしたんですよ。しつれいいたしました。ライトノベルのような軽さで進む話に純文学みたく緻密に主人公の心の移ろいをテイストしたお話。三浦しをんさんはもう2,3冊読まないとこの人の核心を見れないと思う。

 はな「ちいさいぶつぞうおおきいぶつぞう」

 「見仏記」がいとうせいこうによるみうらじゅん観察記になってしまっていたけれど、これは仏像マニアが存分に自らのフェチについて語った一冊だ。パステルカラーで描かれる仏像イラストもかわいらしく、仏像フェチ入門に最適。

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